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子どもたち、中でも中高生が、家庭の経済力や教育方針にとらわれず、お金がなくても、充実した余暇を享受できる地域社会を
- 達成率
3%
- 達成金額:
- 36,000円
- 目標金額:
- 1,408,386円
残り335日12時間22分
事業実施団体
プロジェクト概要
実施期間
2024年11月5日〜2025年11月4日
目標金額
1,408,386 円
寄付方法
寄付の申し込みをこちらからお願いします。
http://www.plus-social.jp/donation.cgi?pjid=172
⬇︎
・クレジットカード
・郵便振替 京都地域創造基金寄付口座 00930-4-312262
通信欄に「フリースペース」と記入ください。
・銀行振込 GMOあおぞらネット銀行 オアシス支店 9010414
ザイ)キヨウトチイキソウゾウキキン フリースペース
※いずれの方法も必ず事前にお申し込みをよろしくお願いします。
(領収書の発行や、適切に皆様のご寄付を寄付先へお届けするために必要です。)
活動の趣旨
□なぜ、「無料」で過ごせる場が必要と考えるのか
私たちは地域のおとな(うち社会福祉士3名)で構成する任意団体です。
京都府向日市で毎週土曜日午後、中高生を対象に「無料で過ごせる場」を開設しています。
それは次のような問題意識からです。
子どもの権利条約では、第6条「育つ権利」、第31条「休み、遊ぶ権利」が定められています。
放課後・休日は子どもたちにとって、様々な経験を積む大切な機会です。「遊ぶ」ことを通して様々な経験を積みます。そしてその経験の量と質は成長に影響します。
とくに、思春期にあたる中高生にとっては、自我の形成期にあり、この期間は価値観の形成期にあります。思春期に形成された価値観はその後の人生の選択、生き方を大きく左右します。
この時期にどれだけの経験機会があるかは、その人の成長にとってとても重要な問題です。
私たちおとながする経験とは比べ物にならない重みがあります。
つまり中高生世代にとって、「日々をどう過ごすか」はその後の人生に大きく関わっていく問題なのだと私たちは考えます。
活動の背景
□このまちの現状~保護者支援ではなく、子どもが育つ環境がない~
わたしたちの問題意識は「子どもたちが享受できて当然の権利が保障されていないこと」にあります。
国は子ども家庭庁を設立し、盛んに「地域で子どもを育てる」と提唱していますが、向日市では、その理念と程遠い状況にあります。
向日市は京都市の南西に隣接する市で、人口はおよそ56,000人(令和5年)、面積は全国の市の中で3番目に小さく、西日本では一番小さな市です。
そんな小さなまちですが、残念ながら子どもたちが自由に無料で遊べる場所は大変不足しています。乳幼児への施策は他市と同水準ですが、成長するにつれ、どんどん薄くなっていきます。
まず、学童保育はあっても、児童館はありません。公園は119か所あり、うち面積が300平米を超える公園は47か所ありますが、ボール遊び等運動ができるのは一か所のみです。
そもそも学童保育は働く保護者のためのものであって、子どもにとって「楽しいか」というと甚だ疑問です。
また、本市は住宅が密集しており、公園以外で子どもたちが集まって遊べるような広い空き地はほとんどありません。そのため、家の前などで大きな声で遊んでいると、近隣住民から警察に通報されてしまうこともあります。「こどもの声がうるさい!」問題です。
さらに、自宅以外で勉強をしようにも、学校以外で、無料で勉強ができる公共施設は市立図書館で10席ほどあるのみです。
自宅以外での「お金を使わず」に勉強できる場所はなく、ファーストフード店などが自習の場です。
およそ3,000人(令和5年度)いる市内の中高生の生徒数に対して、圧倒的に「お金を使わず余暇を過ごす場」が不足していると感じます。
子どもが当然享受できる権利が保障されていない。それを保障するのは保護者のみの責任ではなく、地域のおとな全員の責任だと私たちは考えます。
なぜならば、保護者のみの責任となると、子どもの権利保障が「家庭の経済力に左右されるから」です。
□では中高生はどこで過ごしているのか
子どもたちの姿は放課後、休日などに大型ショッピングモールのフードコートや、通路のソファー、あるいはファーストフード店や、ファミレスでよく見かけます。
また、鉄道のアクセスの良さから、繁華街に繰り出し、映画を観たり、カラオケを楽しんでいるようです。
お小遣いに余裕があれば、過ごす場所の選択肢は広がります。一方、そうではない子にとっては選択肢がほとんどない状態です。
つまり、余暇の過ごし方の選択肢は家庭の経済力に大きく左右されているのです。そして、家庭の経済力で過ごし方が変わるということは、必然的に、子どもたちが余暇をともに過ごすお友だちは、家庭の経済力の近いもの同士で過ごすことになるのではないかと推測しています。
これが「価値観の同質性」を生み出す原因の一つではないかと想像します。
また、家庭の養育方針が厳しく、過ごし方に様々な制限をかけられ、お友だちと遊びにくい状況に置かれている中高生もいます。
活動実績
□「無料で過ごせる場」の利用状況
令和4年7月にフリースペースという名称で「無料で過ごせる場」を開設しました。当初は自治会館をお借りし、毎週土曜日12時~18時の時間帯でスタートしました。
その後、場所が2回変わり、現在は教会さんをお借りして実施しています。
令和6年10月26日現在で、121回開設し、累計1,324人の利用がありました。
年度ごとの1回あたりの平均利用者数の推移は(年度のあとの()内は実施回数)、
令和4年度(37回) 5.49人(延べ利用者数:203人)
令和5年度(54回) 10.37人(延べ利用者数:560人)
令和6年度(30回) 18.70人(延べ利用者数:561人)
初年度は利用者のほとんどが小学生でしたが、今年度は中学生の占める割合は88%になりました。
121回までの時点で、フリースペースへ来たことのある市内の中学生は実人数で298人です。
市内の中学生は1,400人(令和5年度)です。
2年3か月で市内の中学生の5人に1人が1度はフリースペースにきました。そして、そのうち、80人ほどが頻度の違いはありますが、定期的に利用してくれています。
フリースペースには「無料で過ごせる」様々な物を置いています。
まず、Wi-Fiが利用できることからスマホで動画を鑑賞したり、Tiktokの撮影をしたりしています。
また、任天堂のゲーム機switchがあります。ほか、大勢で遊べるようにカードゲームなどもあります。
ひとりでも過ごせるよう、本、お絵かき道具、折り紙なども用意しています。他にはswitchで有料コンテンツサイトも観ることができます。
利用は、男子は大勢、女子は2,3人の少人数でやってくる傾向にあります。あるいはひとりでやってくる子もいます。
タイトルは少ないですが、流行りの漫画もあり、それを読みに来る子もいます。
そして、お菓子と飲み物を無料で、量の制限なく提供しています。お菓子を囲み、女子会をする姿もあります。
大勢、あるいはひとりで来ても、過ごせる環境を用意しています。
フリースペースは中高生であれば誰でも「来たいときに来られる」場です。
活動の展望
□フリースペースから見えてきたこと
・やはり「無料で過ごせる」場への需要はあること
・無料で大人数が集まって遊べる場の選択肢がやはり市内には極めて少ないこと
一方、
・1人でやってくる子も一定数いること
・交友関係は同じ中学、同学年とは限らないこと
利用者の滞在時間はかなり長い傾向にあります。
平均で3~4時間、長い方だと、12時に来て18時まで過ごされることもあります。
そして、毎回フリースペースには6人~9人くらいの男子グループがやってきて、switchで長時間遊んでいる姿があります。
誰かの家に大人数で集まって遊ぶことが許されない家庭が多いようです。
保護者からすると、休日に大勢のお友だちが家に集まり大声で騒がれると休息できません。
また、働いている場合は、保護者がいない家にお友だちを連れて入ることを禁止されているお宅もあります。そもそも誰かの家に集まって大声で騒いでいると、近隣から110番通報されかねません。だからフリースペースに集まってくるのだろうと思われます。
一方、1人でやってくる子もいます。誰とも遊ぶ約束のない子にとってはよい外出機会になっているようです。
いつもはお友だちと来ている子が一人でやってきて過ごしていることもあります。
フリースペースは常に騒々しいのですが、それでもテスト前には「勉強しに来ました」という子どもたちが多いです。
また、中学校が異なるお友だちと遊ぶためにフリースペースを利用される方もあります。それぞれ保護者が送迎をされます。
どちらかの家で遊ぶのではなく、フリースペースに集合して遊んでおられます。
□フリースペースは子どもの「育ち」を支援する活動
フリースペースは中高生を対象に、「無料で過ごせる場」を開設し、家庭の経済力に左右されずに、余暇を楽しめる選択肢を作る活動です。
一方、経済的に自立していない子どもが「お金を使わないと遊べない」「余暇を楽しめない」状態になることも懸念しています。
思春期にある中高生にとって、心身の成長期、とくに、価値観の醸成期にあたるこの期間の経験は、私たちおとながする経験とは比べ物にならない重みがあります。
いま、日本の30代までの死因の一位は「自殺」です。そして、小中高と共通して起こっている問題に、リストカットとオーバードーズがあります。また、不登校も年々上昇傾向にあり、「学校に行かない選択」という言葉が盛んに流通しています。
私はこれらの問題は枝葉であり、その根っこは「孤立・孤独」「内向きな感情表出」ではないかと考えます。
その原因は希薄な人間関係となってしまった、いまの社会の人間関係の在り方にあるのではないかと私は考えます。
いまの中高生は感情を荒げ、他者に対して危害を加えるような感情表出をあまりしない傾向にあると私は感じます。
かつて、校内暴力が日常的にあり、教師を殴り、たばこを吸い、バイクに乗って暴走する、そんな時代がありました。当時と比べると、いまの中高生は格段に、感情表出の仕方が違います。そして、その時代と比べ、もう一つの違いは、子どもに「おせっかいなほど」関わろうとするおとなの数も減りました。
大勢で遊ぶ機会も少なく、また「知っているおとな」の数も、団塊ジュニアの私と比べると少なくなっているのではないかと感じます。
いまのこどもたちの親世代は兄弟が少ない方が多く、頻繁に親族で集まる機会も少なくなっています。いまのこどもたちが会話をするおとなは学校、習いごとの先生、親戚くらいではないでしょうか。
そもそも「おとな」をイメージできるほど、多くのおとなを知らないのではないかと感じています。
こどもたちは学校で「いかのおすし」=「知らないおとなは不審者と思え」と言わんばかりの教育を日常的に受けています。こどもたちは知らないおとなから声をかけられると、「不審者」を疑います。
価値観の醸成には、「ロールモデル」となるおとな像をイメージできるよう、いろんなおとなと接する機会も必要ではないかと考えます。
私は、この活動の場がこどもたちにとって様々な経験を積める場となり、価値観の醸成の一助になってくれることを期待しています。
さらに、この場に地域のおとなが関わることで、地域の「しらないおとな」を名前のついた「知っているおとな」に変わっていく場になってほしいとも考えます。
いまのおとなは、たいていのことはお金で解決し、自己完結の生活をしていませんか。
まったく何の得にもならないことに、自分の空き時間を使って、人のおせっかいを焼く人がとても減ったなと私は感じます。
わたしは、この活動に、向日市のおとなたちが関心をもち、自分の余暇を地域のこどもたちのために使ってやろうと思う人を増やしたいと考えます。
いまのこどもたちが50代になるころ、日本の人口は現在の2/3になり、1.3人が一人の高齢者を支えなければならないとの予測があります。
私たちはいまの子どもたちに「背負い方すらわからない」大きな荷物を背負わせることになります。残念ながら、私たちはその将来を変えられそうにありません。
そんな私たちおとながすべきことは「こどもたちの成長」に惜しみなく投資をすることではないかと考えます。
□私たちが目指すところ
いくつもの「中高生が無料で過ごせる場」を向日市につくりたいと考えています。
このような場所がいくつもあれば、子どもたちは放課後・休日、それらの場を渡り歩いたり、またお気に入りの場を見つけるなど、「お金がなくても」充実した余暇を楽しめ、家庭の経済力に左右されず、様々な経験機会を得ることができると考えます。
大勢のお友だちと週末を一緒に過ごすことで、充実した余暇を過ごし、鬱積した感情の発散をできる場となることが期待できます。あるいはお友だちと遊ぶ約束をしていなくても、「あそこにいけば誰かいる」と期待できる場になり、寂しい週末を過ごすこともなくなるかもしれません。
「ふらっ」と出かけられる場ができることで、週末自室に閉じこもりがちになる子どもたちにとっては外出機会となることも期待できます。知らない人との新たな出会いの場になるかもしれません。
このような場所がいくつも地域にでき、中高生の余暇の過ごし方の選択肢として浸透することで、孤独感に苛まれる中高生が一人でも減ってくれることを願います。
□寄付金の使い道
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ホームページ
https://www.muko-freespace.com/