コンゴ民主共和国における、国内避難民をはじめとした鎌状赤血球症に罹患した子どもの治療プロジェクト

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コンゴ民主共和国における、国内避難民をはじめとした鎌状赤血球症に罹患した子どもの治療プロジェクト

国際・多文化共生 コンゴ民主共和国における、国内避難民をはじめとした鎌状赤血球症に罹患した子どもの治療プロジェクト コンゴ民主共和国東部・北キヴ州ゴマ市において、鎌状赤血球症に罹患している5歳以下の子どもを対象に、無償で疾患の治療・フォローを

20年以上にわたって続いているコンゴ東部における紛争は700万人もの国内避難民を生み出し、戦闘から逃れてきた多くの人が劣悪な環境の避難民キャンプで生活することを余儀なくされています。ゴマには国内最大の避難民キャンプが存在し、国際支援組織の援助が入っているものの、慢性疾患を対象とする医療支援はなく、支援の手が行き届かず、救える命が失われているという深刻な状況があります。

長引く紛争下、避難民キャンプなどで生活することを余儀なくされている子ども達の命が大切にされ、どんな疾患であっても取り残されることなく必要な治療が受けられるように、また、国を超えて、皆で助け合いながら課題を解決していく事のできる、主体的で自律的、そして子ども達の未来が守られる社会の実現へと向けて、私たちは本事業を遂行していきます。

達成率

0

達成金額:
20,000
目標金額:
6,041,856

残り3527時間18

事業実施団体


一般社団法人MABADILIKO

プロジェクト概要

実施期間

2025年1月1日〜2025年12月31日

目標金額

6,041,856 円

寄付方法

寄付の申し込みをこちらからお願いします。
http://www.plus-social.jp/donation.cgi?pjid=173
        ⬇︎
・クレジットカード
・郵便振替 京都地域創造基金寄付口座 00930-4-312262
      通信欄に「コンゴ」と記入ください。
・銀行振込 GMOあおぞらネット銀行 サフラン支店 9630717
      ザイ)キヨウトチイキソウゾウキキン コンゴ

※いずれの方法も必ず事前にお申し込みをよろしくお願いします。
(領収書の発行や、適切に皆様のご寄付を寄付先へお届けするために必要です。)

プロジェクト実施の背景

コンゴ民主共和国(以下DRC)東部における紛争は30年近くに及んでおり、多数の武装勢力・民兵による地元住民への大規模かつ断続的な攻撃によって、国内避難民の数は690万人(IMO・2023年)にも膨れ上がっている。
食事・衛生的な水や住居などの衣食住を取り巻く環境・経済・教育・医療などあらゆる面において避難民の生活に打撃を与えているが、北キヴ州・ゴマにある国内避難民キャンプとその周辺における状況はより一層深刻である。
( 出 典 : AMNESTY https://www.amnesty.org/en/location/africa/east-africa-the-horn-and-great-lakes/democratic-republic-of-the-congo/report-democratic-republic-of-the-congo/

避難民キャンプの医療に関しては国際NGOが運営するモバイルクリニックが設営されており、マラリアや風邪などを対象とする初歩的な診療・治療が行われているものの、慢性疾患を受け入れる機関は皆無であり、支援の手が回らず、適切な治療がなされないまま患者は放置されているという現実がある。

ゴマにあるキャンプ・ブレンゴおよびその周辺で問題となっている慢性疾患は多岐にわたるが、特にDRCはアフリカで2番目に鎌状赤血球症(以下 SCD)の罹患者が多い(出典:Fondation Pierre Fabre https://www.fondationpierrefabre.org/en/current-initiatives/the-drc-introduces-a-national-plan-to-combat-sickle-cell-disease/
)ことや、キャンプ責任者や現地の医療従事者などからのヒアリング調査で、SCDが疑われる症例の存在(死亡してしまったケースも含めて)が散見されたことから、当団体はSCDに焦点を当てて医療支援事業を行っている。

当団体のこれまでの取り組み

当団体は実地調査のため、2024年10月、北キヴ州保健省SCD責任者であるDr.Fezaとの連携のもと、キャンプ・ブレンゴにてスクリーニング調査を独自に実施した。
2日間にわたって200名あまりの子どもの検査を行った結果、4名の子どものSCD罹患を診断した。以来、当団体はこの4名の子どもに対する疾患のフォローを行っている。(資金不足のため、後述の薬剤・ヒドロキシウレアを用いた治療ではなく、葉酸・ペニシリン・マラリア予防薬配布やヘモグロビン値のモニタリングなどベーシックな投薬フォロー)

2025年以降は、本基金をはじめとしたファウンドレイジング・啓蒙活動などにより、プロジェクトの運営資金を確保しつつ、治療対象者の数を増やしながら、事業地において深刻な問題であるにもかかわらず、これまで顧みられることのなかった SCDの子どもに対して、適切なフォロー・治療を行うことを目標としている。

長年にわたる紛争下、支援の手が行き届かず、治療されないために多くの命が失われている現状を改善し、SCDの子どもの死亡率の低下に貢献することを第一とし、疾患の治療に加えて、サイコロジストによる子どもの心理的ケアや 、SCD検査受診を推奨するための無償検査も行う。

SCD の主な特徴・症状について

① 非常に短い赤血球の寿命(通常赤血球:90~120日、鎌状赤血球:10~20日)に起因する貧血
② 重度の疼痛発作・臓器虚血(赤血球の形状異常による、毛細血管の閉塞が原因)
③ 免疫不全(正常な免疫システムを持たないことによる、易感染性)

本事業で行う各症状に対する治療・フォローは以下のとおりである。
① 貧血予防のための葉酸服薬・定期的なヘモグロビン値のチェック・貧血を更に悪化させるマラリア感染を早期発見、予防するための定期的なマラリア検査と予防薬服用・必要時には輸血
② 赤血球の鎌状化を減少させるヒドロキシウレアの内服(ヒドロキシウレア投与下では血液検査:CBC・肝機能・腎機能によるモニタリングを行う)・発作時の入院加療
③ 広範囲の感染症予防と治療:感染症予防のための予防接種の推奨・ペニシリン内服など

特に小児期においては早期に適切な治療を開始することで、死亡率が低下し、良好な症状コントロールによって急性増悪(発作)の頻度も低下することが示されている。一方、治療されることがなければ、生まれてきた子どもの半数は5歳になるまでに死亡している
(出典:Fondation Pierre Fabre https://www.fondationpierrefabre.org/en/current-initiatives/the-drc-introduces-a-national-plan-to-combat-sickle-cell-disease/ )。

SCDは根治することが難しく、一生涯にわたって管理が必要な疾患であるが、予後は改善しており、平均生存期間は60歳前後となっている。

※多くの急性増悪(発作)は原因不明であり、治療によって頻度が低下するものの、ある一定の割合は防ぐことが難しいとされているため、本事業では毎月、全対象患者の20%(10人)が、何らかの要因で入院加療が必要になると算定し、事業計画を立てている。

事業の具体的な実施内容

【本寄付募集によって実施される事業期間】
2026年1月1日~2026年12月31日
以降も毎年、事業規模を拡大・内容しながら継続更新。

【本事業における3つの柱】
① キャンプ・ブレンゴおよびゴマで生活する、SCDに罹患した子どもの治療・フォロー(50名)
② 治療対象の子ども・家族の心理的ケア(50人の子どもとその家族)
③ MABADILIKOメディカルセンターにおける、SCDの無償診断検査(100名)

【対象者】
① 治療・フォローの対象とする50名は以下の基準で抽出する
 1. 国内避難民キャンプで生活する5歳以下の子ども
 2. 孤児院で生活する子ども
 3. 避難民ではないが、経済的困難を抱える(シングルマザー・失業中など)家庭の子ども
② 本事業の治療・フォローの対象となった50名の子どもと保護者
③ MABADILIKOメディカルセンターにおける通常診療の中で、医師による診察の結果、SCDの罹患が疑われる5歳以下の子ども(最大100名)に対して、随時無償で診断検査を行う。

【実施地域】
キャンプ・ブレンゴ周辺と市内のMABADILIKOメディカルセンター
対象者は居住地に近い方の場所で、月に2回のフォローアップを受ける。
※市内とブレンゴを頻繁に往復することは安全性・経費の問題により現実的でないため、キャンプおよびその周辺で生活する患者の定期的フォローについてはブレンゴ近隣の保健センターの看護師と提携し、業務委託することで対応。

【SCDの治療・フォローの実際】
① 疾患の治療について
 ・月に2回の定期フォロー(薬の配布と検査)
  薬の配布:毎日内服する3種(ヒドロキシウレア・ペニシリン・葉酸)の配布と内服状況の確認
  ※3か月に一度は、マラリア予防薬を処方

  検査:ヘモグロビン値の検査とマラリア陽性検査
  ヒドロキシウレア投与下のモニタリング(血液検査:CBC・肝機能・腎機能):年間2~4回

 ・発作(急性増悪)時の入院加療
  発熱・疼痛や急激なヘモグロビン値の低下など、発作による症状で入院加療が必要となった場合、MABADILIKOメディカルセンターにて治療を行う。

 ※避難民キャンプ・孤児院で生活する子どもの治療のための交通費・入院中の食事は事業費で賄う。
 ※ヒドロキシウレア投与下のモニタリングとして、投与開始後2か月は毎月、CBC・肝機能・腎機能検査を実施。血液検査で異常が見られなければ、以降は同検査を6か月毎に実施。ヒドロキシウレアの投与中止が望ましいと判断された場合は別の治療法で対応。
 ※キャンプ近隣で患者のフォローを行う看護師(委託提携)とは患者の状態を確認するため、フォロー日毎に連絡を取り合う。1月の事業スタート前にはSCD患者のフォローを行う上で必要な知識や実務のトレーニングを行うが、2か月に1度、実施状況の確認のための視察を当団体代表が行う。
 ※キャンプで生活する子供の血液検査のサンプル摂取については、MABADILIKO メディカルセンターの臨床検査技師が都度、キャンプを訪問して対応。

② サイコロジストによる心理ケア
 本事業では月に2回のフォローの際、希望があれば子ども(とその家族)に心理的支援を提供する。SCDに限らず、QOL(生活の質)・経済面など日常生活全般に大きな支障が出るような慢性疾患を抱える子どもは他の健常児とはかけ離れた生活を送ることになる。
 また、家族は周囲に罹患の事実を隠そうとするため、患者本人・家族は物理的・精神的に孤立する傾向にある。患者・家族はサイコロジストによる恒常的なサポートが不可欠であるが、当団体が現在行っている支援は資金不足のために疾患のフォローに留まっている。そのため、本事業では予算を割いて心理的ケアまで含めた包括的な支援を行っていく計画である。

 ※サイコロジストの配置は1名であるため、患者のスケジュールによってキャンプ近隣あるいは市内のMABADILIKOメディカルセンターで面談。

③ SCD診断検査
 当団体が運営する病院に訪れた、SCDが疑われる 5 歳以下の子どもに対して、無償で診断検査を行う。この検査事業は治療・フォローの対象者を見つけるためのものではなく、SCDの診断検査を推奨するためのものである。事業地の多くのSCD罹患者は疾患が認識されることがなく、潜在的であるという問題があり、これまでの診療活動においても、経済的理由により検査を断念するケースが散見されていることから、「何の疾患に罹患しているか分からないまま適切な治療が行われないケース」を減らすための、あくまでも診断検査を啓蒙するための取り組みで、適切な治療に繋げることが目的である。

期待される効果

・第一に、本プロジェクトは慢性疾患に対する医療的支援のない事業地において、5 歳以下のSCDの子どもに治療の機会を提供するものである。適切な治療・フォローにより、対象患者の発作の頻度・死亡率を大きく低下させると共に、症状を安定させることによって患者・家族の身体的・精神的・経済的負担の軽減に貢献する。

・単年度ではない継続的なプロジェクトの運営により、現状、検査・治療体制が整っていない事業地において、将来的にはSCD治療の拠点となり、疾患に対する認識・適切な治療が広く啓蒙されていく動きの足掛かりとなることが期待される。

・疾患のフォローのみにとどまらない、本事業で注力するSCDの子どもに対する包括的なサポートは発達段階にある子どもにとって非常に大きな意味を持つエンパワメントになるものであると考える。サイコロジストによる心理的支援は子ども達に不安をそのまま表現したり、他者と感情を共有する機会を提供する。そこで感じられるものは小さな安心感であるかもしれないが、子ども達が将来、希望を持ったり恐怖に対抗していく力に繋がるものになると期待される。

・本事業を遂行するもう1つの大きな意義は、紛争鉱物が深く関係する、長引くコンゴの紛争下、国際社会の関心が十分に向けられてこなかった問題について、誰もが無関係ではいられない事柄であり、社会全体で問題解決の取り組みがなされるべき案件として捉えられるよう提唱することである。この行動は無関心から脱却し、市民一人ひとりが自分事として社会問題に関心を寄せ、主体的に助け合うことのできる共助社会の実現へと着実に歩みを進める一歩となると確信する。

本事業実施期間終了後の展望

50名のSCD患者・家族と共に疾患の治療を行うことは当団体が最初に取り組む最重要課題であり、今後も対象者を増やしながら継続的に運営していくプロジェクトであるが、SCDは生涯にわたって管理が必要となる慢性疾患であるため、当団体は患者・家族の経済的自立を支援していく事も同様に重要な支援であると考えている
本事業の対象患者の抽出は避難民やシングルマザー・失業中の家庭など、治療のあらゆる面において全面的な支援を必要とする環境にあるため、生活の糧を得て少しでも治療費を賄えるようになることが自立への第一歩であると言える。

そのため当団体は本事業実施中より新たに別事業を立ち上げ、「患者の保護者に対する職業訓練・就職先のあっせんを行うプロジェクト」を展開していくことを計画中である。具体的には、自動車整備工場・土木工事会社・洋裁店・タクシー会社などにSCDの子どもの保護者の受け入れを依頼し、独立して仕事が出来るようになるまで、数か月間研修を受講してもらい、その後就業先を見つけるところまでサポートすることで経済的自立を支援するものである。国内避難民の困窮と、この状況を改善しなければならないという認識はゴマ市民共通のものであり、従業員として受け入れることで地域の問題に貢献できるという点を強くアピールし、就業先のあっせんをすすめていく計画である。(研修期間中の生活費・研修先への受け入れ報酬を事業運営費にて負担する。)

加えて、SCDは両親をキャリアに持つことがなければ予防できる遺伝疾患であり、(※キャリア:無症状であるが、SCDの因子を持っている人。両親がキャリアである場合、25%の確率でSCDの子どもが生まれる。)疾患の撲滅・罹患者を減らすためには結婚または挙児希望の際にカップルがSCD検査を受け、生まれてくる子どものリスクを認識することが重要である。前述※①のとおり、北キヴ州に隣接した地域でのスクリーニング調査ではキャリアの割合が26.8%という結果が示されており、4人に1人以上がキャリアであるという、SCDの子どもを持つリスクが極めて高いことが示唆されている。
ところが、SCDに関連する問題が深刻な国であるにも関わらず、DRCの92%の人がSCDの検査を受けたことがないというデータが示すように(https://target-sarl.cd/up/en/?readstu&enc=utf-8&t=142&rt=Sickle+cell+disease:+92%25+of+Congolese+do+not+get+tested,+according+to+a+Target+study%20?%3E)疾患に対する認識の低さも課題であるため、近い将来、予防施策事業(一人でも罹患者を減らすための啓蒙活動・検査事業+新生児に対する出生時検査)にも積極的に関わっていきたいと考えている。

活動状況

2023年12月 DRCにて非営利団体MABADILIKO創立
2024年1月 病院開業のため、ゴマ市内にて民家の改修工事をスタート
2024年2月 クラウドファンディングを実施し、患者搬送用の車両を購入
2024年2月 日本国内にて、一般社団法人MABADILIKO設立
2024年4月 DRC東部・北キヴ州ゴマにてMABADILIKOメディカルセンター開業
2024年6月 妊婦を対象とした無償エコー健診キャンペーンを1週間実施
2024年7~8月 夏休みを利用し、男児を対象とした安全で安価な割礼キャンペーン実施
2024年10月 近隣の保健センター(CENTRE DE LA SANTE AFIA HIMBI)と連携し、妊婦を対象とした週2回の無償エコー健診事業および妊娠中から積極的に介入する家族計画事業を恒常的にスタート
2024年10月 ブレンゴ国内避難民キャンプにて、200人余りの子どもを対象としたSCDのスクリーニング検査を実施

活動状況

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