東日本大震災10年のメッセージ

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活動内容 2021.3.11

東日本大震災10年のメッセージ 被災地からの学びを、命とくらしを守る地域づくりに

IIHOE
[人と組織と地球のための国際研究所]
 代表者 兼
 ソシオ・マネジメント編集発行人
   川北 秀人

 東日本大震災の直後、まだ余震が続くころから、国内外から数百万人規模の人々が、被災地・被災者のためにと、募金や物資の提供とともに、ボランティアとして支援活動を行った。そのとき、京都地域創造基金が、全国から集めた寄付を、遠く離れた被災地支援活動への助成にも充てられるように所管官庁にかけあってくださったことが、大きな力になった。
 その後、全国各地で相次いだ大規模災害では、被災地での経験・活動で育った人材や団体が、駆けつけて支援を担うようになっている。被災地の行政が即応できないニーズに取り組む活動を助成する基金をいち早く設置し、全国から寄付を募る各地のコミュニティ財団の取り組みも力強い。
 一方で、発災直後から「被災地は日本の未来だ」と伝え続けてきた。2010年の国勢調査時点で被災3県の高齢者率は24.3%。大規模自然災害では史上もっとも高齢者率が高い被災地であるがゆえに、復旧も復興もとりわけ困難を伴うことは不可避だった。もともと高い水準にあった高齢化や人口減少が、被災によってさらに進んだ被災地だからこそ、元に戻す復旧だけでは、くらしの安心の確立は困難であり、未来を見据えて持続可能性を高める復興が求められたからだ。
 この問題は、東日本大震災だけではなく、その後に各地で頻発した豪雨水害の被災地に共通する。2020年1月時点での住民基本台帳にもとづく調査では、全国の高齢者率は26.1%。沖縄、東京などわずかな例外を除き全国42道府県で、被災3県の10年前の高齢者率を既に上回っている。
 ところが、身近な行政である市区町村では、国から与えられる予算が増える一方で、福祉の需要増や公共施設更新による負担増に備えて職員数を減らし続けており、すでに10年間で2割近く削減されている。高齢化と小家族化により自助できる力が弱まりつつあるときに、公助と呼ばれる行政サービスの担い手は減り続ける。そこに新型感染症。これを補う共助をどう育てるか。地域づくりは行事から事業へ、役から経営へ。命とくらしを守る地域自治が、改めて重要だ。
 コミュニティ財団には、地域の持続可能性を守り、高めるために、人材や組織を育て、それを資金の循環で支えるしくみづくりを、さらに力強く進めていただきたいと願う。

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