見落とされがちな制度も! 相続時の税制優遇を最大限活用するには?

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ご寄付の活かされ方 2021.8.17

見落とされがちな制度も! 相続時の税制優遇を最大限活用するには? 大切な財産を寄付する―その尊い志に対して、税制上の優遇が受けられることをご存じの方は多いかもしれません。相続人が相続財産を寄付した場合、寄付をした金額には相続税がかからない。そのことは比較的よく知られているのでは…

大切な財産を寄付する―その尊い志に対して、税制上の優遇が受けられることをご存じの方は多いかもしれません。
相続人が相続財産を寄付した場合、寄付をした金額には相続税がかからない。そのことは比較的よく知られているのではないでしょうか。

では、相続時の税制優遇として、その他にもう一つ活用できる制度があるのをご存じでしょうか。
実は、この制度は一般にあまり知られておらず、意外なことに税金や法律のプロでさえうっかり見落としてしまうこともあるのです。

今回は、相続財産の寄付に関する優遇税制を最大限活用するためのポイントについて、わかりやすくご説明します。

【弁護士さんでも!】

まず、実際にあったエピソードをご紹介したいと思います。

先日、知り合いの弁護士さんとこんな話をしました。
その弁護士さんがクライアントの遺贈寄付の手続きを完了した直後のタイミングでした。

弁護士「先日、遺産の一部を寄付したいという方が亡くなって、100万円ほどの遺贈寄付をしました。遺族の方のご理解もあって、スムーズに進みましたよ。」
私「それはよかったですね。お疲れ様でした。寄付先が弊財団じゃないのが残念ですが(笑)」

弁護士「はっはっは。今回は遺族の方がすでに相続していて、相続税の申告まで時間がなかったのでね。無事に領収書や証明書も受け取って非課税財産にすることができました。」
私「それはよかったですね。では、この後、寄付者さんの確定申告もきちんとしてあげてくださいね。」
弁護士「はい?」

弁護士さんも驚いたその「確定申告」とは何のことでしょうか。

これは、ご主人が亡くなり、奥様と娘さん2名の合計3名が遺産を相続したときのお話です。娘さんのお一人が現金を多めに相続してそこから100万円寄付をした、という状況でした。娘さんお二人は会社員で、給与所得がありました。

この場合、発行される領収書は以下のようなものです。

ー・ー・ー・ー
宛名:(娘さんのお名前)様
金額:100万円
但し書き:故・(ご主人のお名前)様の相続財産の寄付
領収日:寄付を行った日
ー・ー・ー・ー

この領収書を相続税の申告書に添付すれば、非課税財産となります。
ここまでは弁護士さんも手続きをしていらっしゃいました。

ただ、この領収書は寄付をした娘さんの確定申告にも使用できることを弁護士さんはご存じありませんでした。
確定申告をすれば、寄付金額に応じた所得控除あるいは税額控除が得られるのです。

さて、このお話の後日談です。

弁護士「先日はありがとうございました。確定申告はまだ先なので助かりました。税理士、寄付先団体と話をして進めています。」
私「お役に立ててよかったです。寄付先が弊財団じゃないのが返す返すも残念ですが(笑)」
弁護士「還付された金額からそちらに寄付するように言っておきます(笑)。でも相続で得た収入には所得税はかからない(相続税がかかっているため)のに、所得税の控除が受けられるって不思議ですね。」

*       *
     
それまで弁護士さんは法律に精通していて何を聞いても答えてくれる、そんなイメージを抱いていましたし、それは今でも変わりません。

ただ、この一件で感じたのは、弁護士さんでさえ見落としてしまう法制度の複雑さです。いえ、それはむしろ専門家だからこその盲点といってもいいかもしれません。

相続税に関わる非課税財産の問題と、所得税の所得控除・税額控除とは別個の法律です。相続税は亡くなった方が遺した財産に関わる税金ですが、所得税は遺族に関わる税金です。

相続についてクライアントから依頼を受けた弁護士さんや税理士さんが、相続税に集中されるのは当然といえば当然のことでしょう。

こうした経緯から、見落とされがちな制度も含めて、遺産相続時に受けられる優遇措置について、多くの方に知っていただきたいという気持ちを強くしております。

相続財産のご寄付の税制について詳しくお知りになりたい方はこちらよりお問い合わせください。
https://www.plus-social.jp/contact.html

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